乳房神社での誓い

少し、前の話です。

私の実家では
父が神仏に対する
信仰心がほとんど無く
お正月の初詣も
幼い頃、行った記憶がありません。










お正月に初詣にいくこと自体
長い間知らなかったくらいです。

信じられるものは
自分自身だけ
そんな頑なな
父でしたが

ところが、そんな父も
年を重ねるごとに
お墓参りや
初詣にでかけるようになりました。

今年、実家に里帰りしたとき
ここ数年よく行く神社に
両親と初詣にいきました。

神社の本殿で
お賽銭を投げ入れ










今年一年の健康を
願ったあと、

境内のはずれを
ぶらぶら歩いていました。

すると
「乳房神社」の文字











あれ、こんな祠あったっけ！？
初めて気がつきました。

乳房神社、
安産や
出産後のお乳がよくでるようにと
祈願する神社のようですが、

乳房神社とあれば、
こりゃ、やっぱり、
乳がん再発・転移なしの
お願いをせずにはいられません。










小さな祠の前で手を合わせたあと
後ろを振り向くと、

年老いた父が
手を合わせていました。

深いしわが刻まれた顔
目を閉じて、
ずっとずっと
長い長い時間
手を合わせておりました。

自分の妻も娘も
乳がんに犯されて
しまったからでしょうか。

父の姿に
心動かされながら
一番の親不孝は
親より早く死ぬことだと
聞いたことを思い出しました。
そして、
絶対、再発しないぞと
誓いを新たにしました。

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