千の風になって

今まで、身内の死も含め
勤めていた頃は、職場の
同僚の家族の死など
何度も何度も
葬儀に参列してきた。

その頃の悲しみは
自分に対する悲しみだった。

身近な人が突然いなくなる悲しみ
今までのように一緒に居れなくなる悲しみ
職場の同僚の父親が亡くなった時は
同僚の悲しみの深さに
もらい泣きもした。

今年の五月に、大動脈瘤という
病気で、逝った叔父の葬儀に参列した時
私は、号泣した。

叔父は、義理の叔父で
結婚してから何回か会ったことが
ある位のつながりでしかないのに

出棺の時、「千の風になって」が
流れ、心の中では
ベタじゃ～と受け流すつもりが
涙があふれ、鼻水が垂れ
泣きじゃくった。

大動脈瘤がわかって一年、
それまで元気で仕事もしていた人が
手術をするたび、どんどん
普通の生活を奪われ、
それでも、仕事の整理も
身辺整理もするつもりでいた。

義理の叔父との別れ
叔父がいなくなることの
悲しみに加え、いやそれ以上に

死にいくとき、叔父が
どんなに生きたいと思ったか
どんなに無念だったか

のどにチューブの穴を
あけられ、声を発することも
できなく意思を伝えることも
できなくなった叔父の無念さに
私は号泣していた。

人は、どんなに年老いていても
不治の病にかかっていても
生きたいと思う気持ちは
かわらないと思う。

生きたい、生きたいと思いながら
逝かなければならない、
人の悲しみが
きっと癌を患ったことで
私の胸の中に
鮮明になったんだと思った。